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のぼうの城

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のぼうの城

ピンチのときは不器用なヤツがカッコいい!
一気に読みました。寝不足になりましたけど。

乱世を舞台にした歴史ものだが、
堅苦しさや小難しさといったものはなく、とても読みやすい。
そして何より、魅力ある登場人物の人間模様のアンサンブルが
にぎやかで楽しく惹き込まれてしまいました。

戦国ものが好きな人はもちろん、
戦国に興味のない人にも手にとってもらいたい痛快な作品です。
弱小大名だった成田家やその家臣団のことも詳しく知ることができるし、
敵方の三成や大谷吉継も新鮮なキャラクタで描かれているのもいい。

個性豊かな登場人物のなかでは、
剛強でやさしく周囲からは過不足ない猛将と思われているが、
実はその裏で繊細な面を併せ持ち、少々ネガティブな成田家家臣、
正木丹波守が気に入りました。

新しい器に古い酒
”漫画”のような、とこの作品を評する方がいらっしゃるが、まさにその通り。漫画世代に影響を受けた次世代の歴史小説であろう。司馬遼太郎や、宮城谷昌光のようなものこそ、歴史小説と考える方には、チト受けいれられ難いかもしれない。私は、むしろ歴史小説でこのスタイルをとったことを高く評価している。史実に基づいてないという反論もあるようだが、これは小説です。過去に起こった本当の史実など、誰にも分からぬ中、”史実”を求めるのなら、歴史の学術論文を読まれるとよいでしょう。

物語の展開こそ、ハリウッド映画ばりのテンポで読者を飽きさせず読ませるスタイルだが、訴えたいことは実に、いい意味でオーセンティックで真摯。「強いものが弱いものをなぶるのが道理として通る世の中は許せない」今の社会で痛切に響くテーマだからこそ、売れたのだと思う。テンポの良さだけであったら、同じようなものはいくらでもあろう。凡百のものと比して、当書が際立っているのは、筆者の強い思いがあるからではなかろうか。

閑話休題。実は、この本の主人公はのぼう様ではないのでは、とも思っています。脇役として描かれている正木丹波こそが真の主人公ではないかと。のぼう様が、ある種、神格化された人物として描かれている中、等身大の悩める人間像として非常に魅力のあるキャラクターとして光っているとも思います。

次作が楽しみです。

 良い意味でも悪い意味でも「漫画」である
 なかなか売れているらしい。
 確かにエンターテインメントとしてのストーリー性はあるし、一気に読める。しかし、小説としての完成度はいまいち。
 登場人物たちの時代考証を無視した言動(茶髪の武将が出てきそうな世界観である)が多々見られるが、これはもちろん意図的な現代風アレンジであって、そのことを批判するのではない。この手法は、若者にとっては司馬遼よりもスタイリッシュに感じられるだろうし、時代小説の裾野を広げるものであると評価できる。
 問題は、登場人物たちの描写である。彼らの『花の慶次』のような、つまり漫画のような描写がこの小説への感情移入を妨げている。なにより、主人公たる成田長親のキャラクターでありタレントであるところの「人間性」、つまり「将器」についての納得ある説明がされていないのが決定的に評価を下げている。語り部的役割である猛将正木丹波守のアフターストーリーにも同様のことが言えるが、初めに結論ありきの物語展開が強引で、一度疑問を感じて立ち止まってしまった読者を置き去りにしてしまう。
 さらに敢えていえば、日本文学が得意としてきた人物の心の陰影に関する描写が極端に少ない。これは、「表現のための物語」ではなく「物語のための表現」が優先され、物語そのものが目的化した結果であると言えよう。
 まあ、見方を変えて言い換えれば、スマートな展開で無駄がないとも言えるのかもしれない。してみれば、このあたりが「本を読まない」とされる若者にとって、読みやすく面白いと感じられる一因なのだろう。
 いずれにしても、私も若者の端くれだし、読み物としては面白いと思う。小説ではなく、漫画だと思って読むと良いだろう。


痛快かつ爽快
まず、表紙がいいです。自分も思わず表紙で買ってしまいました。
あまり深く考えずすらすら読むことができて、読後も爽快感というかいい気持ちに慣れる本です。




評判以上の快作
 わたしにとっては、武州忍城を舞台としたものといえば、
『十一人の侍』(工藤栄一1967)という映画以来かもしれ
ません。もっとも、本書の時代はだいぶ遡って16世紀の
後半、戦国時代の末期ではあるのですが。
 読み終わって、暑いときに少しビールを口にしたような
清涼感とわずかな体のぬくもりのようなものが残りました。
分量も適当で、ストーリーも正攻法のものだったからだ
(簡単な地図と登場人物の一覧があると、もっとよかった)
と思います。
 もう少しその理由を考えると、まず攻める豊臣方(特に
石田三成の胸の内)と守る成田方を対等の立場で交互
に描く構成、判官びいきをモチーフとして、数千の力で二
万三千の軍勢の攻撃をしのぐ意外性のあるプロット、最
後に登場人物を漫画チックに戯画化して、描き分けてい
ることでしょうか。何より、登場する人々がいずれも前を
向いていることが、読む者のハートを熱くするのだと思い
ます。
 本書の元は、城戸賞を受賞したシナリオで、帯には既に
映画化が進行中と記されています。どうしても大掛かりに
なり、ロケ地や製作資金の確保が難しいせいもあってか、
本格的な合戦ものといえば、黒澤のもの除くと『風林火
山』(稲垣浩 1969)、『真田風雲録』(加藤泰1963)、『雑
兵物語』(池広一夫 1963)あたりまで遡らないと先例がな
いようです。実現までにはいろいろなことがあるのでしょう
が、観ていてワクワクするような映画になることを期待して
います。


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小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

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小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

読んでる途中に例の曲が頭の中で流れます
私も他のレビューの方の例にもれず劇場で『秒速5センチメートル』を
見た後に、本書を読んだ。

小説版も映画版と構成はまったく同じで
  第一話「桜花抄」
  第二話「コスモナウト」
  第三話「秒速5センチメートル」
の三話からなっている。ただ大きく違うのは第三話で、映画は簡単に
働きだしてからの主人公の生活・明里の様子が描かれ、後半は山崎ま
さよしの「One more time, One more chance」が流れる中、ほとんど
台詞がはさまれず映像だけで進んでいきます。小説版は詳しく主人公
・遠野貴樹のその後の生活が描かれている。たぶん、劇場版ではここ
までくるともう細かな話はいらないということで、引き算をして効果
的な演出にしたのだろう。
どちらが良いかというよりも個人的には小説版の話を全部知っておい
て劇場版を見るのがいいのではないかと思う。

すごく良いなと思ったのは、主人公視点で話が進む第一話、澄田花苗
の視点で話が進む第二話、そして、主人公視点を中心としながらとこ
ろどころに篠原明里視点が挿入されている第三話、この構成である。
主人公の心理描写でやや重い(堅い?)言葉が使われているので、第
二話の篠原明里の素朴な心理描写との対比が素晴らしい。
170ページ弱の量とはいえ、おそらく全部が主人公視点だったらきっと
重くて読めなかっただろう。

最初に映画をみたときに、本作のキーワードは「別れ」だと感じた。
だが、小説版を読むとむしろ「出会い」や「新たな始まり」といった
言葉が思いついた。

読んでもらいたい、そして映像をもう一度みてもらいたい
最初は映画館で映像を見ました。
それから、一年程もたってから、この小説を読みました。
そして、DVDでもう一度映像を見ました。

映画館で映像を見たとき、
期待通りの映像美に感動し、
胸を締め付けられるような気持ちを抱いた
今思えば、何か心に引っかかるような、そんな感情を抱いたことが思い出されます。
それは、作品に共感してしまった部分と
なにか映像作品から読み取りきれなかった部分があったような思いがあったんだと思います。

時間を置いて、小説を手に取りました。
文章だからこそ、描けるものが丁寧に描かれていると思います。
映像で描かれていない部分も描かれています。
特に短編としての『秒速5センチメートル』は、
映像では極短い時間で描かれていますが、
就職から映像で描かれるまでの貴樹の歩みや感じていたことがたくさん描かれています。
最後のメールの内容があります。
花苗との最後の別れが描かれています。
明里と貴樹が渡そうとしていた手紙の内容(おそらくはその一部)があります。

小説を読んだ後、
なぜか発売日に購入をしながら、置いておいてしまっていたDVDを見ました。
自分の周囲の状況の変化もあると思いますが、
映画館で見たときとは、大分違った印象を持ちました。
きっと、読み取れなかったと思った部分を補完できたのだと思います。
なにか、貴樹の心にずっとあったものとか、
そういったものが、すっきりとした形で感じられたのだと思います。
やっぱり切ない気持ちは抱いてしまいましたが・・。

自分の感じたものをつらつらと書いてしまいましたが、
本作品は、映像の小説版ですが、
お互いを補完する位置づけに成っていると思います。
また、少し違った視点で描かれた物になっていると思います。
私のように、映像を初めに見た方が多いと思います。
そういったかたに、是非呼んでいただきたい。
映像をみて、どのような感想をもったとしても・・。
そして映像をもう一度見ていただきたい。
きっと違った見方ができると思います。
きっと違った印象をもてると思います。
それは、きっとより良いもの、糧のようなものになると思います。


心に不思議な感覚を抱きます
映画を観た後に読む事を勧めます。
そしてボロボロ涙がこぼれ落ちる[お涙頂戴]物ではありません。
しかし涙がこぼれる以上の感動を心に感じる作品です。
特に第2話のヒロインの想い。
あまりにも切なく強く、
此処まで[一人]を好きになれた事があるかどうか考えさせられます。
そして最後のささやかな奇跡。
ハッピーエンドかどうかは
解りませんが、
2人にとっての
ハッピーエンドである事を
願いたくなります。

欲を言えば第2話のヒロインのその後が知りたいですが、多分、それは
聞いてはいけない事
なんでしょうね…(笑)

彼女も新たな一歩を
しっかりと踏み出せて
いますように…、

心に穏やかな感情変化が欲しい人は是非、読んでみて下さい。
少し自分が変われるかも知れません。


小説も書ける新海誠
新海誠を知らない方は映画「秒速5センチメートル」を観てください。
映画は僕のオールタイムベスト1です。
新海さんはあとがきで、映画から入ってもらっても、小説から入ってもらってもどちらでもかまわないと書いておりましたが、僕は断然、映画から入る方をオススメします。
この人、多才ですね。あれだけクオリティーの高い映画も作れて、小説も書ける。
ただ、おしむらくは描写に力を入れすぎという点。まだ、バランス感覚が洗練されていないかなという印象は受けました。
でもですね、はっきり言って、「世界の中心で、愛をさけぶ」なんか比べ物にならない感動があるわけですよ。
映画と小説が補完関係になっていて、新海さんが意図的に違和感をかもし出したらしくて、またそこが上手い。深い。何度でも読めます。
新海さんがもっと有名になれば、10万部売れてもおかしくない作品だと思います。
ホントに、ジブリも良いと思いますけど、なんで、この人がこの程度しか評価されていないのか。いや、評価はされているのに認知されていないのか。
全国規模で上映すればいいのに。社会現象巻き起こす映像ですよ、あれは。
とにかく、騙されたと思って映画観てください。60分間、鳥肌立ちっぱなしのすごい映画です。

“奇跡”を踏み台にして
受験生だったためこの本を読むのが3月になってしまいましたが季節的にはドンピシャになりました。

最初は正直不安でした。映像で表現できることと文字で表現できることは違います。あの映像での演出があるからこそ踏切での諦めのような、そして前に向いて歩いていく決意のような笑顔が活きてくるのではと思っていました。

しかしその不安はいい方向に裏切られました。文字だからでる生々しさ、切なさそのすべてが胸に突き刺さります。

安易なハッピーエンドの作品では“いい作品”程度ですぐに忘れてしまう。

この作品は読者に媚びることなく淡々と生きる人間の生々しさを綴っている。ラストの“奇跡”は他の作品では安っぽい方向に持っていってしまう傾向が強いが、この作品はその“奇跡”を踏み台にして歩きだす主人公を巧く描写しています。

映画の理解を深める作品でもあり、映像との相互補完だけではない作品でもある秀逸な作品です。

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食堂かたつむり

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食堂かたつむり

料理でひとを幸せにする、理想のかたち。
料理が好きなひとにとっては、
食べてくれるひと組ひと組のお客さんと
向き合うことは理想である。

そのカタチにこだわって実践していく
主人公の姿を通して、
もっと気持ちをこめて、
丁寧に料理をしたくなる。
また普段作られた料理を何気なく食べているひとは、
作り手の気持ちがわかるのではないだろうか?

ただストーリーがあまりにも
うまく行き過ぎているのと、
いろんな出来事が盛り込まれすぎていたこと。
料理でひとを幸せにしたい、
という普遍的なテーマだからこそ、
もう少し、現実味のあるストーリーのほうが
より説得性があったように思う。

エルメスを食べないで(泣)
引きこもりのお妾さんや拒食症のうさぎを元気にしたり、片想いの女の子の思いを届けたり、結婚に縁のなかったカップルを幸せにしたり、うーん食堂かたつむり、なかなかやるなと思ったら、だめだよ〜エルメスを食べちゃあ。最後のおかんの手紙も良かったのに・・

ちょっと残念。
糠床は、野菜がご馳走になる魔法のベット。
生みたての卵の黄身みたいはツルンとした濃いオレンジ色の太陽。

などの食べ物や料理にちなんだ表現が美しいと思った。料理好きな女性は楽しめる作品かもしれない。

ただ、形容詞を多用しすぎていることもあって、ぼやけた印象をうける。ハイカラな料理も登場する一方で、料理法・食べた感想などの記述もまだまだ不足しており、文才のなさ感じてしまった。

ストーリーは、中学生くらいまでは楽しめるかもしれない。


期待したのですが…
人や自然との繋がり、食べるということ、それらが与えてくれるもの…。
伝えたかったであろう想いは解かる気がするのですが、
いかんせん書き手の技量がそれに追いついていないのが残念です。
掲げたテーマや、登場人物とその背景はとても興味深く、読み進めることに期待を持たせてくれるのですが、
肝心なところで本来描写するべきであろう心の動きなど、デリケートな部分が描かれておらず、
随所に見られる乱暴なストーリー展開に物足りなさなを感じます。
読者としては要所要所に置き去りにされたその想いを拾い集めることができぬまま終盤を迎え、
ついには「あぁ、やっぱり」と言う残念な感想を持って読み終えてしまいました。
小説というより『ちょっとしたストーリーを付けた料理本』と謳われていた方がすんなりと読めたのかもしれません。
また、コース料理というよりは本日のシェフのお勧めをアラカルトで出されたという印象でした。

湘南ダディは読みました。
好個の佳編という標語がぴったりの作品です。同棲していたインド人の恋人にそれまで二人で将来レストランを持つために貯えてきたお金や家財道具を一切合財持ち逃げされ、そのショックで失声症にかかってしまった主人公の倫子が、折り合いの悪い母親が一人住む故郷へギリギリのバス代をもって都落ちするところから物語りは始まります。
 料理以外には興味がなく引き込み思案の主人公と違い、母親は敷地にスナックを建て、田舎には稀な派手やかな雰囲気で結構近隣のお得意さんをあつめては夜な夜なカラオケやら大騒ぎをしています。地元の土建業の通称ネオコンがスポンサー兼恋人といわれています。倫子は不倫の子という噂もあったりするほどです。
 さて倫子は料理以外に自分が立ち直る道はないと決心し、母親から物置小屋を借り受け人のよい熊さんの手助けをうけながら改造して、一日一食予約制の食堂かたつむりをオープンします。取れたばかりの野菜や果物などの山の幸、海の幸を出来るだけ自然のまま使い、予約をくれたお客には事前に筆談で話しをきき、その人が幸せになるようなメニューをつくることをモットーにします。例えば何年も喪服を着たまま過ごしてきている老婦人には楽しい余生がすごせるように、見合いをしたばかりのカップルには二人の仲がうまくいきますようにと願いをこめてつくります。
 ネオコンがふぐをスナックに持ち込んで常連さんとパーティーをやるあたりから物語はドラマティックな展開を示し始め、母親が何故今も独身なのかの謎が解けたり、更に長年の恋人と運命的な再会があったりして終幕へと向かいます。
 母親のペットであった飼い豚エルメスをめぐる話や真夜中12時なると必ず正確に12回鳴き声をあげる天井裏に住むふくろう爺のエピソードなど感動的なエピソードをいくつか挟みながら、全体としては倫子の性格そのままに静かで穏やかな時間がゆったりと漂っているお薦めの作品です。


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鹿男あをによし

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鹿男あをによし

まさにドラマにぴったり
奇想天外な展開が面白い!
漫画あるいはドラマにぴったりな
エンタ―テインメント性の高い小説。
非常に読みやすいです。

奈良の町並みや自然の風景などが丁寧に
描写されていて、奈良はまだ訪れたことのない土地だが
親近感を抱かせる。







とぼけた味の奇想天外エンターテイメント
 読んでいると、どこか憎めない著者の姿が透けて見えてくるような気がする。二分法で行けば、東大系と京大系なら(当然?)京大系。正統と異端であえて分類すれば異端。自宅派と下宿派ということなら下宿派。
 そうしてみると、世代は大いに異なるが、庄司薫がその補色として連想されてくる。読ませる力があるのが両者の共通項というべきか。
 カバーの絵もとぼけていて好感が持てる。前著「鴨川ホルモー」ではカバーの絵が結末を予測させるようでちょっと面白くない面もあったが、今回のものはそういうこともない。
 最近始まったテレビドラマの方は、原作の奇妙な味がよく出ている。

今年面白かった本暫定1位
この冬の同名ドラマの原作。

奈良の鹿がお辞儀するのはそういうことだったのかぁ〜(笑)
(勿論作り話だけど)

ほんとによく作られた(練られた?)本だなって思いました。

本はよく買えど中途半端で別の本に移り、最後まで読めないのが多いけど、
これは読めちゃったなぁ

道を歩きながら本を読むなんて人生初(笑)

著者の別の作品も読んでみたくなりました。


楽しめました
主人公は大学の研究室で働く28歳の男。
ひょんなことから奈良県の女子高に赴任することになる。
そしてある日突然、鹿に話しかけられ、1800年ほど前から続いている、
人類を救うために行われる儀式に不可欠な一人に選ばれてしまう…。

設定は摩訶不思議だが、文章は読みやすく、
物語の世界に、容易に入り込むことが出来る。

自分は高校の時以来、奈良には足を運んでいないが、
いつの日か、また奈良を訪れてみたい。ポッキーと共に。

面白いけど・・・
内容は分かりやすく飽きることもないと思いますが、小説というより漫画っぽいなあと思いました。活字ではなく漫画だったら満点だと思います。

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私の男

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私の男

インモラルとは?
インモラルな表現、現象はいまコミック・小説や映画から実際の事件までどこにでもすぐ見つかる時代だ。文学はインモラルなものに対し究極の局面でどう対峙しようとしているかが作品の価値のわかれめであろう。
ぞくりとする表現、ダークな雰囲気が濃厚なこの小説のどこに本当の真剣さがあるのか、これまでの著者の作品とともに考えてみても、いまだにピンとこない。
北海道、近親者間の愛憎、流氷、地震・・そのモチーフをつかった作品にいわずもがな三浦綾子氏の傑作『氷点』があるが、宗教さえ超えるような人間のモラルとの戦いの極限状況が描かれる著者の真剣さと比較して考えてみると、ライトノベルでストーリー作成のパターンを覚えた書き手が、「直木賞」を意識した一般文芸の舞台でその手法を巧みに踏襲したものにすぎないかもしれないという危惧をいだいてしまった。
エンタテインメント作品として水準は高いとは思いますが・・。


<闇>の中に<闇>なし
何という本だろう。
<闇>の中に<闇>はないということでしょうか。
人間の掟やモラルが一切関わりない、二人の強い関係をどう読めばいいのでしょう?

物語は、華やかであるべき結婚式から始まります。
でも、この花嫁は後ろ髪をひかれているような、いないような奇妙な感覚に捉えられています。「けっこん、おめでとう」と語るその義父も離れがたい何かを持っているようです。

小説は、そこから時間を遡っていきます。語り手も章ごとに入れ替わります。日本語の三つの形態(ひらがな、カタカナ、漢字)を巧みに使い分けて、語られてゆきます。
そして、章が進むに連れて、二人の持っている過去の問題の謎が徐々に明らかになって行きます。
二人の見つめるものは、北の黒い海です。
二人の魂は絶望的に絡み合い、二人を同一化しているのは肉欲のみでなく、存在そのものにもかかわってしまっています。

最後まで読み終わり最初に立ち戻った時、二人の将来が見えてくるように思います。

勝手な大人のお話
装丁が印象的で購入。なかなか読む時間がとれずにいたら直木賞受賞。
これは早く読まなければと2日で読みあげました。

禁じられた関係、近親相姦が大きなテーマですが、とどのつまり自分勝手な人たちがこれでもかと出てくるのです。陰湿なテーマを演出するために「北の町」、人間らしさをなくした生活の場を「拘置所そば」と設定するのはあまり好きではなかったです。好きになれない親を持っていたら何をしてもいいのかとも思いました。たぶん花はしあわせにはなれないでしょう。



間違っていると思うのになぜ間違っているかは分からない
 人もうらやむ結婚をした花。それなのに、その目は、その心は、養父である淳悟を求めてしまう。憎しみをはらみながらも。なぜ、ここに行き着いたのか、この結末は必然だったのか。この原因を手探りするように、少しずつ二人の歴史を遡っていく。
 突然断ち切られた想いをどうすればよいのか。行き場をなくした愛はどこを目指せば良いのか。読み進めて行く内に、そんなことを考えさせられる。
 人知を超越する自然の力により崩された関係性を、人間がどう構築しなおすか。そのときに、誤ったピースを組み合わせてしまうこともあるかも知れない。枠外にいる人間は、それを間違っているというだろう。しかし、枠の中に他にピースがなければ、そうするしかないことだってあるのだ、きっと。

 サムシング・フォー。結婚式でこの4つを花嫁が身に着ければ幸せになれるという風習。この一つである古びたカメラが思い起こさせる罪と愛の物語。

好きな作品です
汚らわしい事に思えず、物悲しく感じさせる二人の行為は、深く深く底なし沼のように底が見えないの。
題名もさることながら表装も力を抜いてません。
新書の時の桜庭一樹は、スゴイ←ラノベも凄いけど
歴々の女性作家群の中からぬきんでた力作だと思うワ。
少女七竃と七人の可愛そうな大人が静で私の男が動に思えるほどの暗い海のうねりが感じられる作品です。


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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

もっとじっくり読ませて
本書が大絶賛を受けているのは理解できる。
スピーディな展開の気持ち良さを味わえ、人物同士の掛け合いの妙を面白く読めた。
しかし、本書のテーマが重たいが為にスピーディかつ軽いタッチで描かれているのかも知れないが、
それが使い捨て社会と評される現代を、奇しくも投影した作品である様にも感ぜられた。

重たいテーマをじっくりと読むのは気が重くなりがちだけれども、
読書にさえスピードを要求されかねない今だからこそ、もっとじっくりと読ませて欲しいと思う。
自分には、アンビバレンシーを感じさせ、もどかしくさせられる作品だった。

医療モノだけど難しすぎない
心臓手術バチスタを専門とする「チーム・バチスタ」は
これまですべての手術を成功してきた。
しかし急に術中死が連続して起きてしまう。
チーム・バチスタのトップ、桐生医師は不審を抱き、
院長にチームの手術の調査をおねがいする。
そこで万年講師で外科は門外漢の田口医師が調査にあたるが。。

すっごいおもしろかったです。
医療モノは難しそう、となかなか手がでなかったのですが、
読んでよかったです。
天才外科医桐生をはじめとして、義理の弟鳴海医師や
語り手担当の田口医師、高科病院長などのキャラがすごくかっこいい。
内容的には、医療関係のむずかしめのお話が入っていますが
語り口調が親しみやすいので、楽しんでよめました。

推理小説は犯人を自分で推理するのが楽しみ、という医療素人の人以外なら
誰にでもおすすめできる感じの本でした。

あわや乗り過ごすことに
久しぶりに「面白い」と思える小説に出会いました。
通勤電車の中で読んでいてあわや乗り過ごしそうになった、というめったにできない経験をしたほど文章に力がありました。

主人公の脳内で”ゴキブリ”に例えられる登場人物のある種の傍若無人ぶりや、ゴキちゃんと繊細な天才外科医ブラザーズの対決(これは下巻での話です)など、エンドマークへ向かっての走り具合がまた絶妙です。

是非、上下巻を買い揃えてから、またできれば2冊とも手元に置いてから読み始めることをお勧めします。下巻だけ買い忘れて在庫切れなどの憂き目にあうと後悔しますし、私のように通勤の往路で上巻を読み終わってしまうと、一日イライラします。



読ませるなあ、、、
2008年の最初はこれのコメントと決めていました。
海堂 尊氏の筆使いの上手さに引き込まれて行きます。
登場人物がシャールックホームズとワトソン博士のようでキチンと役どころが決まり、筋がシッカリ展開しています。
映画化し易い展開ですが、本でジックリ読んで欲しいと思います。
バチスタという言葉は、医龍で知りましたが、このジャンルの作品は面白いです。
一気に読ましてくれます。
さすがこのミス大賞です。
筋は話せませんが、、、上手く出来ています。
2008年も読むぞ、、、。

本当に殺人なのか?
宝島の第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品です。
このミスでは「四日間の奇跡」で騙されたのでもう読むまい・・・と思ってたのですが、映画のCMを見てたら読みたくなりました(^^;)

病院の手術室という密室、しかもその様子は録画もされるし沢山の人の目がある。
でもこの作品のミステリーは、本当に殺人なのか?そして殺人なら何の為に?というところでしょう。
作者が現役の医師だそうで、臨場感はたっぷりありました。
あとは、途中で出てくる白鳥のアクの強さったら。

途中、あまりに難しすぎてダレてしまうところもあります。
それと最後が尻すぼみだったかな。
でも面白い作品だと思います。
続編もあるみたいなので読んでみたいと思います。

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あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅

将来
すごくおもしろかった。著者も非常に若い。
こうした視線はとても面白い。また、親族だからこその、深みというものがある。これは他人を取材してなかなか出せるものではない。
ただ、だからこそ、そこに不安があるように思えた。著者は若い書き手だ。だから、これからも様々なものを書いていくだろう。
ただ、いつまでも親族を書き続けるわけにはいかない。その時、彼女が何をテーマにして書くつもりなのか。正直、この本はとても面白かったが、その部分がうまく見えてこなかった。

熱い本である。素晴らしいノンフィクション!
著者は日本の戦後を「戦争を忘れようとしてきた時代」だと言う。
そして今や「忘れようとしてきたことすら忘れているのではないか」とも書く。
著者は残留孤児の子供として生まれ、「久枝ちゃんのお父さんは中国人なの」と言われた。
そのため、無意識のうちに「中国」を遠ざけてきた。
しかし成長するに従って、父が27歳まで過ごした「中国」と
「あの戦争」について、もっと知りたいと渇望するようになる。
約10年をかけての聞き取りを経て出来上がった渾身の一冊である。

ノンフィクションというと、対象から一歩離れて冷静に描写するものが多い。
しかし本書で著者が取り上げている対象は、父と自分である。
父の歴史と自分史が交錯する作品は、思い入れの強さからか危ういほどの熱さを帯び、
小説も及ばないような訴求力を持った。

著者自身の揺れる心境がそのまま吐露されており、
また父の中国時代の生活も、非常によく取材されて書かれている。

「あの戦争」がもたらした数々の悲劇を少しでも多くの人に知って欲しい、
そういう熱い思いの伝わってくる力作である。

久しぶりに感動しました。
考えてみれば当たり前ですが、関東軍の兵士は日本人であっても現地採用、本社採用などで身分が分かれていたことに気付かされました。著者のお父上様のご苦労は涙無くして読むことができませんでした。中国に同化するため中国語を必死で学んだ幼少期、そしてやっとの思いで日本に帰国し再び日本人となるために必死で日本語を学んだ青年期。頭脳の優れた方だったのでしょうね。良い養母に出会ったことも幸運でしたね。この本で書かれているように関東軍兵士の家族は早い時期に後方に逃れることができたようですが、開拓団の方々はそれもできなかったことを考えると複雑な思いです。この本では日本に帰国した中国残留孤児の苦悩にも触れていることに好感が持てました。江戸時代ロシアに漂着した大黒屋光太夫のことが頭をよぎります。光太夫も女帝エカテリーナに直訴してやっとの思いで帰国しますが、江戸幕府は外国を見たという理由で幽閉してしまい光太夫は家族と再び生活することなく幽閉状態で亡くなりました。お国のために死ぬのは止めましょう。与謝野晶子も「すめらみことは戦いに、おおみずからは出でませね」言っています。

戦争を知らない世代にこそ読んで欲しい
この本は厚い本である。そして本の中身もとても熱かった。

多くの日本の若者がそうであるように、
私は戦争関連の書物を進んで読もうとはしなかった。
読んで重く悲しくやるせない気持ちになるのが怖かったからだ。
この本は私にとって初めて「中国残留孤児」問題を、
現在まで続く「戦争」の傷跡を、真正面から向き合うきっかけを作ってくれた。

前半は、残留孤児であった筆者の父親の人生を。
後半は、筆者自身の留学経験や父の人生を辿る旅を。

父親が引き取られた中国の農村の貧しさや、当時の教育制度、
日本人であるという理由で大学に合格できなかったことや、
文化大革命の大混乱。
帰国後の残留孤児達の多くが生活保護を受けざるを得ない状況にあるということ、
国家損害賠償訴訟をなぜ起こしたのか。
そもそも満州とはどういう国だったのか?
自分は初めて知る内容ばかりだった。

残留孤児だった父親を中国の養父母は大切に育ててくれて、
その娘である筆者のことも親戚・友人達は温かく迎えてくれる…。
家族というもの、親孝行についても考えさせられる。

戦争を知らない世代にこそどうか知って欲しい、
そして何かを感じ取って欲しいという作者の想いを感じたので、
ぜひ若者にも読んでもらいたいと思う。


ていねいに描かれた労作
それぞれの人生にドラマがあるものだけれど、この本に描かれている著者のお父さんである城戸幹氏の半生は、今の時代を生きている自分の環境からは想像もつかないような波乱に満ちたものである。

時代環境、国と国との関係、自分のコントロールではどうしようもない要因。自分の親世代という、とても身近な時代にこのような出来事が実際にあったということに驚くと同時に、前半、時には絶望しそうになりながらも粘り強く自分の道を自分で切り開いていく幹氏とその周りの人間模様に本当に心打たれた。

そして著者の目からお父さんの半生をたどるために自分で中国と日本を見つめる後半。中国滞在中の出来事や感情がていねいに表現されていて考えが深まっていく様子、そしてお父さんの体験や気持ちに近づいていく様子を感情移入しながらたどることができた。こんな近い時代のことなのに知らなかったことが多すぎる。
著者が中国にいて個人と個人、国と国、のギャップに戸惑う気持ちなどもとても共感した。

10年という年月をかけてお父さんの歴史をたどってこられた労力はもちろん、身近すぎる父親という存在と自分とを描くという作業は、他人でないだけに難しかったのではないかと思う。著者の城戸久枝さんに書いてくれてありがとう、といいたい。

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『求めない』 加島祥造

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『求めない』 加島祥造

感謝すること
「求めない」という言葉を聞いて、最初は「贅沢をしない」「今与えられているもので満足する」「欲望を募らせてもきりがない」というような意味かと思ったのですが、実際はもっと深いことをおっしゃっていることが本を読んで伝わってきました。私の未熟な言語表現ではうまく表現できないのがもどかしいのですが、私個人としては「感謝する」ことを忘れている自分に気づきました。今現在はどこも病気をしていない家族と自分がいること、屋根のある家があり、暖かい布団があること、食事ができること、友達の笑顔が見られること、少しでも勉強する時間があること、など、「求める以前に」感謝できることが多かったのにそれを忘れている自分に気づきました。

「足るを知る」ことの難しさを知る本
 特に心が晴れない日々を送る人には、こんな本が必要かもしれません。心のよりどころとなり、本来あるべき人の生き方を示しています。
 しかし、「求めず」「足るを知る」という生き方は、なんと難しいことでしょう。この境地に至るのは容易なことではありませんが、これからの時代を生きる上で、本当の「豊かさ」はその生き方の中にあるのだろうと私は思います。
 この頃は毎朝、この本の言葉を少しずつ読み返してから仕事に出かけています。

『求めない』ことで見えた世界
人はどうしたって求めてしまう生き物。
著者だってそんなことわかってる。

それでも、あえて伝えたかったのでしょう。
『求めない』ことで見えた世界を。

詩によって広がる世界を存分に味わったとき、
著者の伝えたかったことが心にスッと入ってきます。
じっくりと味わって読みたい詩集。

気持ちが楽になる生き方
「求めない」――この題名を見たとたん、吸い込まれるように手に取っていました。

 求めない
 すると自分が自分の主人になる

 だって求めるかぎり
 君は、求めるものの
 従者だもの

このわずかなフレーズの中に、どれだけのものが凝縮されているでしょう。
愛、地位、名声、お金・・・どれをとっても、
その従者になったとき、「すがりついてしまう」怖さがあります。

希望しても構わない。でも、求め狂うとすがってしまう。
そこから歯車がかみ合わなくなる。

求めないこと。それは重要な真理かもしれません。
それを素直に、そして平易に語った本書は、
肩の力を抜いて読める、人生の道しるべです。


シンプルだけど大切なこと
 「求めない」ということだけで人生どれだけ楽になることか。
 そういうことがとても胸にしみいる1冊です。
 混沌とした気持ちのときに思わず手に取った本ですが、すっと
気持ちが楽になりました。
 とても内容はシンプルですぐ読めてしまいますが、とても濃い
意味が凝縮されていると思います。

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DDD 2 (講談社BOX) (講談社BOX)

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DDD 2 (講談社BOX) (講談社BOX)

人によるか?
1巻に続きよいできだと思います

ただし野球主体の話となってしまっているため野球のルールや変化球がわからない方には正直楽しめないかもそれません

スポーツを持ってきたせいか1巻に比べて多少ベタな感じになってしまってはいるのですがある程度野球を知っている方にはたまらなく面白い作品です

ただ筆者の文体があまりにも独特なので賛否両論の一品です。

表裏一体
本巻では前巻に張られた伏線が丁寧に回収されている。前巻から時間が経ってわからなかったが、そう気付いて読み進めると膨れあがった頁数も楽しい。次々と隠された奥行きが披露される。2冊並べてみると、象徴的な青と赤。なるほど、装丁からすでに仕込まれていたのか、と納得。できれば次巻では巻末の付録部分を掘り下げて欲しいと思うが、そうなると今回の頁数すら超えてしまいそうで怖い。(笑)

どちらかというと…。
 どちらかというと、ストーリー展開や設定などは、前巻のほうが面白かったと思う。

 今回は野球をメインにしたストーリーが主となっており、したがって、野球にあまり詳しくない方々からしてみれば、読むだけでも大変でしょう。
 道行くものに野球で勝負を挑み、敗者の命すら奪ってしまう悪魔憑きシンカー。まあ、ある程度読めば、このシンカーと決着をつけるべき人物は誰か、とかそういうのはすぐにわかってしまうし、意外性という点においては、前巻の久織巻菜にはかないません。少年が殺人鬼シンカーになってしまった心理描写の過程も、それをなぞらえるという意味においては確かに優れているのですが、それ自体に意外性があるかと言われると、そうでもなかったり。
 
 むしろこれからラストに向けて重要な役割を担ってくる日守秋星や石杖かなたの動向に着目するための導入部として読めばいいかもしれません。まあ、「シンカー」の章が物語の75%を占めており、その後の第3章、第4章は本当のわずかしかないので、本当に導入部としかいえないんですが、でもこちらの方がDDDシリーズでは重要な部分といえるでしょう。

 まあ、続編期待です。


もっと簡潔に!
つまらないとは言わないけれど、
文句無く面白いかといえば微妙だ。

タイプムーンのゲームのテキストもそうだけど、
やたら長く難解にすれば面白いわけではない。
そういうのはコケオドシと言うのだ。

こんな独りよがりの長文を垂れ流しているようでは、
所詮オタク向けライターで終わるだろう。
もっとも、それで十分に収入になるのだろうが。

読み応えはあります
内容は3話。長編と短編と予告編。
長編といっても320ページ程度とそれほど長くは無いのですが、
至る所に伏線が貼られており、話を理解するためには前に戻りその伏線の場所を探して確かめながら読む必要があって、少々疲れます。

確かに野球が全くわからない人にとっては苦痛を感じるかもしれませんが、お馴染のきのこ節全開なのでこの作者の文体が好きなら問題ないかとお思います。

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人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

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人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

妖精さんは繁栄しました
衰退した人類は引退を表明し、妖精さんにその座を明け渡した。今や地球上で人類といえば妖精さんを指すようになったが、当の妖精さんにはその自覚は全くない。そんな世界において、妖精さんの生態・行動を監視する調停官の職に就いた主人公「わたし」の妖精さん観察記。

ストーリー自体はごくシンプルに進むが、「わたし」と妖精さん達のやり取りが面白い。旧人類を凌駕する技術力を持つが忘れっぽくて飽きやすい性格の妖精さんを何とか理解しようとする「わたし」だが、想像の斜め上を行く妖精さんにことごとく翻弄される。そして時には「わたし」の方が妖精さんを翻弄したりする。この辺りが特に面白かった。

あと、妖精さんが口々に発する言葉が面白いが、これは完全にセンスだなぁ、と。一見さらりと書かれているが、言葉の取捨選択がすごく上手い。

ロミオここにあり
さて田中ロミオ名義のラノベですが、いい意味で予想を裏切ったほのぼの路線にお馴染のギャグを加えた世界観。
イマに比べたら、手綱を握られているなって感じはしますが、ロミオらしさは満載。
まぁ、山田よりでもありますが。
ちなみに今回はロリは0%です、あと黒髪ストレートも・・・

ロミオ木の枝
こんなのも書いてみたよ、といった感じのお話です。
これ一冊でも楽しめましたが、
続きを出されるならまた読んでみたいです。

137ページの最後の行…ねらったでしょ

      はじまったー!
    いや、言いたかっただけ。

はじめ、題名を見たときは重い話かと思いました。(だって“人類は衰退しました”ですよ)
ところが実際読んでみると、氏らしくエスプリの効いたニッチなギャク! お隠れめいた皮肉の数々!
いや、久々に笑わせてもらいました。(もちろん重く受け止めておりますよ?)


これ小学校図書室いけるでしょ
 『サンタクロースは○○○んだぜ』
…とか、さかしく触れ回るような世代にどうですか

※あとがきも面白いです。
 山田…おっと 田中ロミオを識っているなら、まず爆笑間違いなしです。


続編も期待してますが…本職?のほうも期待しております。監修・企画はやめてね(ハート


田中ロミオの新境地
田中ロミオのライトノベルデビュー作が遂に出ました!
初版は発行部数が少ないらしく、ほとんどの書店で即効売り切れたようです。
人類が衰退してかなりの年月が経ち、すでに地球は妖精さん達のもの。
文明は無くなり貨幣もなくなっている世界です。
主人公の喋り方が家族計画の高屋敷末莉にかなりそっくりです。
まぁ末莉は人と積極的にかかわりを持とうと努力してたけど
この主人公は人付き合いがダメダメで他人との接点を嫌っている
引き篭もりがちな感じの主人公。主人公と祖父の遣り取りは面白く、必見!
人類に代わる新たな地球の統制者?である妖精さん達を観察する調停官の仕事に
ついたはいいけど、そこに様々なトラブルが待ち受けていたのでした。
これ、恐ろしい程に読み易い小説です。サクサク読めます。
あと、家族計画やCROSS†CHANNELやおたくまっしぐら
みたいなテンションの高いロミオ節を期待すると肩透かし食らうかもしれません。
ラノベだからなのか、結構セーブかけられてて控えめな印象、
でも一度読むと一発で引き込まれるだけの魅力が備わっています。
たぶんロミオ以外の作者がこれ書いてたらただのちょっと変わったSF小説程度で
終わったんじゃないかと。ロミオの特徴の一つに言葉遊び、強いて言うなら
言葉そのものに萌えてしまう魅力があると思うのです。
この小説で特に印象に残ったロミオ節は

「なぜかいきてます」「ふしぎだー」「いきてるってふしぎです」
「じつは、いきてないのかもです」
「せかいはもしかするとじぶんひとりのまぼろしかもです」

この辺、凄くロミオだなぁとじ〜んと来ました。是非一読を!

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吉原手引草

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吉原手引草

読後爽快
はじめのうちは
「へぇ〜吉原ってこんな風になってるんや・・・」と
まさしく「手引」を紐解いている感じでしたが
途中から俄然面白くなってきて
ぐんぐん惹きこまれ一気に読んでしまいました。
特にラストの方では映像が目に浮かび
読後しばらく経った今もその印象が残っています。
私にとっての読後感は「爽やか」。

読後直後に読み返したのは久々の経験でした。

最初はまあまあ良かったんだけど・・・
 読みやすくはありました。丁寧な言葉でしたし、歴史ものなのにわかりやすくて。ちょっと説明くさいかなと思うところもたくさんありましたが。
 肝心のストーリーがうーんという感じ。これだけ引っ張っておいてこのラスト??っていう感想を持ちました。すごく興味を持って読んでいたのでラストにはがっかりです。
 ほんと、吉原手引きって感じかな。どろどろした感情とかそういうものは全く感じられず、感情移入ができないまま終わってしまいました。純粋にストーリーを楽しみたい方には不向きですね。
 直木賞ってすごい賞だというイメージですが、こんなものかな…??一般的な読者にはたいした作品ではないのかもしれません。

語り手のキャラクター
評価が高いし、興味ある本でしたが、少し読むとどの語り手も、同じ調子で語っている点が退屈で鼻についてしまいました。様々な立場の語り手が何人も登場するのですが、どの人の語りも文章のリズムが同じで、代わり映えがしないのです。語り手のキャラクターが感じられないところと、読んでいて葛城にそれほど興味が湧かないところ、残念に思いました。

江戸時代って、ひょっとして日本文明が頂点に達した時だったのかも?
素晴らしいです。傑作です。吉原のスター花魁の失踪をめぐるミステリーです。いろんな人々からの聞書きスタイルで描いていますので、老若男女とりまぜた江戸の人々のインタヴュー集みたいでもあります。江戸という時代のマナリズムや美意識を凝縮した吉原という特殊な文化圏のガイドブックでもあります。いや〜優れた小説こそが、歴史を教えてくれるのですね。歴史に埋もれた人々の人生を息遣いを蘇らせてくれるのですね。

この小説、志が高いです。つまんない苦界の人々に見える人々の心にひそむ心意気と、体を張って生きる女たちの健気で真心ある連帯があってこそ成就したことを明らかにしていく小説は、読後感爽やかです。かつ特権階級の上にあぐらをかき寄生虫と化しつつあった武士たちに、ひそやかに、暗黙のうちに抵抗をしている江戸庶民の心意気と、幕末の大波を予感させるような空気・・・作者の学識と視線の広さと高さを感じさせます。

何よりも、ヒロインの花魁の清冽な生き方。泣けてきます。読んでよかったなあ!ありがとう、松井今朝子さん。





当時の吉原の事情など相当詳しく調べられており圧巻だ

 江戸時代の吉原を舞台設定とし、花魁葛城が失踪を探る。

 主人公が吉原で働く番頭や店番など計16名の関係者から失踪の理由を探る。各登場人物の個性の豊かさが面白いことはもちろんのこと、当時の吉原の事情など相当詳しく調べられており圧巻だ。直木賞受賞作の傑作です。

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エブリ リトル シング

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エブリ リトル シング

この斬新な手法をぜひみなさんも
他の方も書いているが、なぜ「クワガタと少年」だけがもてはや
されるのか、私にはわからない。もちろん、「クワガタと少年」
が素晴らしい話である事は否定しないが、名前もない「クワガタ
と少年」の主役が、その後のストーリーに影響を与え、登場人物
たちに間接的に気付きを与えているこの手法は、もっと高く評価
されるべきではないか。私にとっては、この数年で読んだ小説の
中では確実にNo1だ。この傑作を多くの方に読んでいただきたい

「クワガタと少年」だけじゃない
この本を買った後、この本の第1話の「クワガタと少年」が話題になっていることを知った。
しかし、本を読んだ僕は違和感を感じた。
なぜ、「クワガタと少年」ばかりが話題になっているのか?

その他の話も素晴らしい。
個人的には、「彼女はいつもハーティーに」で作者の才能に感心し、「ビジネスカード」こそが文句なしのナンバー1だった。

というか、全体を読まないと1つのストーリーにならないし、全体を読んで初めて「クワガタと少年」はその中の1つのピースである事に気付く。

繰り返すが、「ビジネスカード」は最高だった。
「クワガタと少年」よりもいい。

つまるところ、この本、かなりの傑作です。

2時間で読めるのに、一生心に残る物語
連作短編という高度な技法を使っているので、とっつきにくいと思ったが、予想以上に読みやすかった。
確かに、「クワガタと少年」から展開していく各物語が意外な形で連動する手法は見事といわざるを得ない。

ただ、そのわりに、比較的すいすい読めるのが心地いい。
2時間で読破できるだろう。

しかし、6つの物語から得られた「気付き」「感動」は、少なくともボクの心には一生残るだろうと感じた。

「陰日向に咲く」「その日のまえに」に感動した人に
本書は連作短編集である。
最近の連作短編のベストセラーと言うと、「陰日向に咲く」や「その日のまえに」を思い浮かべる人が多いだろう。
だが、本書は、第一話の脇役が第二話の主人公だったり、第二話の主人公が第三話でも脇役で登場したり、というレベルの作品ではない。
はるかに高度な小説技法によるもので、前記の2冊にまったく劣らない名著だ。

とにかく温かい。
ストーリーも文体も。
読み終えた時には、涙でにじんだ目をこすりながら、「明日から頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。

今後が楽しみな作家がまた一人増えた。

宝物になりました
なんという爽やかな文体とストーリー。

「クワガタと少年」で号泣した後、「アフター・ザ・プロム」と「彼女はいつでもハーティーに」で軽く涙。
心に響くことばが詰まった玉手箱。

私にとっての宝物になりました。

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