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小惑星探査機 はやぶさの大冒険

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小惑星探査機 はやぶさの大冒険

宇宙、科学、夢、ロマン、日本の先進技術 これらの言葉が浮かんで来ます
太陽系の起源をさぐるために小惑星「イトカワ」まで到達し地球に戻って来た「はやぶさ」の物語です。こういう開発物語を書かせたら右に出る者がいない山根一眞氏がインタビューをおりまぜて295ページにまとめています。

なぜ小惑星が太陽系の起源をさぐるのに役立つのか。
→質量の大きい地球などは内部にいくと熱により太陽系ができた当時の物質も変化している。したがってそうした熱の影響がない長径500メートルのイトカワが探査の対象として選ばれた
イトカワにはほとんど重力がない
→探査機の脱出速度は秒速20センチ
イトカワは公転している
→秒速30キロの公転速度、時速では10万キロ。はやぶさは加速していってそのスピードになった
はやぶさが小惑星をぴたりととらえるのは東京から二万キロ離れたブラジルのサンパウロ空を飛んでる体長五ミリの虫に弾丸を命中させるようなもの

こういう話が続きます。日本の科学者の夢実現へ向けての努力やアメリカでしか手に入らない衛星の部品の話など興味は尽きません。行方不明になってから電波ををみつけて姿勢制御に成功するまでの話も手に汗を握る話です。

科学、宇宙、夢、ロマン、日本で優れたものを作る、こうした単語とフレーズが頭のなかで繰り返し出てくる本です。



日本の子供たちに是非伝えたい
7年の年月をかけ3億キロかなたの小惑星イトカワを旅してきた惑星探査機はやぶさの記録に感動しました。今年6月にはやぶさが地球に戻ってきたという報道は見てましたが、戻って来たことは奇跡的であり、日本人宇宙科学技術者たちの涙ぐましい努力と根性がそこにはあったことを本書で知りました。世界中が注目する偉業を成し遂げたスタッフの皆さんたちにこれからも頑張って頂きたいと思うと同時に、また日本の子供たちにどれだけすごいことを成し遂げたのか語りたいと思いました。


わかりやすく、面白く、意外とマニアックで・・・メタルカラー健在!
「メタルカラーの時代」の山根さんがはやぶさ本を書かれることを知り、
山根さんのようにうひゃぁ〜と思わず奇声をあげて(^^)/して待っていました。
ざっと読みましたが、山根さんらしい、わかりやすく、対談形式織り込むことで面白く、
しかも担当者たちのいいたいことがたっぷりと聞ける作りになっています。
この本で知ったことも多く、多少マニアックな人にも充分満足できる内容だと思いました。
山根さんのわかりやすい文章と、対談による生の情報による密度の濃さ
(それもインタビュアーの技量しだいですが)が補い合って、とてもいい本だと思います。
挿絵もキーになるものをしっかり押さえている感じで、買って良かった感を覚えます。

はやぶさって何?なんで大騒ぎしているの?という方にもお薦めしたい。
はやぶさの何がすごいのか、マニアがまくし立ててもとても伝えきれないことを
この本はみごとにやさしく正確に伝えていると思います。臨場感もものすごい。
と思ったので、あと1冊買って職場の待合室に置きます(^^)


プロジェクトメンバーの熱い思いに感動しました
2003年に打ち上げられ、この6月に地球に帰還したはやぶさ。そのはやぶさのプロジェクトメンバーの面々へのインタビューを交えながら、その7年間にわたるプロジェクトを感動的に描いたドキュメント。
第9章のプロジェクトリーダーの川口氏がはやぶさに問いかける言葉に、不覚にも涙してしまった。
もちろん、このはやぶさに投入された日本の技術力もスゴイと思うが、さまざまな困難にぶちあたりながらも、それを切り抜けてきたメンバーの努力に頭が下がる思いだ。
どんなプロジェクトでも、第11章で川口氏が述べたように、最後は「根性」なんだなぁ。
このプロジェクトがもたらした功績について語るべき言葉は持たないけれど、日本の宇宙開発の技術力の高さが証明されたのは間違いない。そして、その技術力は、科学者たちがNASAや他の国の技術者には負けられないという技術者としての競争心、誇りに支えられていたのだとも思う。
「二番じゃダメなの?」なんて口が裂けても言うべきではないとも思う。

それにしても、みんなの夢を乗せて散っていったはやぶさの最後の写真は美しい。

おもしろかったから努力して世界一になった
小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げられてから地球に戻ってくるまでの冒険を描いています。はやぶさに襲いかかる、予想を越える試練の数々に対して、知恵を振り絞ってミッションをクリアした、日本のはやぶさのチームの執念の物語です。著者の山根氏が、打ち上げから帰還まで7年の間、はやぶさチームに張り付いて取材を続けてきた、膨大な資料がもとになっており、山根氏の執念の賜物でもあります。

インタビューで開発担当者から聞き出した秘話がたくさん盛り込まれており、ハイテクとローテクの両輪によって「はやぶさ」が支えられ、幾多の困難を乗り越えてきたことがわかりました。特に、開発担当者のヒラメキと日本を支える企業群の持つ底力によって、磨き上げられて絶妙に組み合わされたローテクの数々がとても興味深く感じました。NASAにおいて開発費が25億円を超えてしまい断念した、低重力の小惑星上で活動する小型ロボットをわずか3000万円で作ったそうです。残念ながら小惑星に到達することができませんでしたが・・。

世界トップの経済力を誇るよりも、あるいは世界をリードする政治力を誇るよりも、こんな不可能と思われることにチャレンジして道を切り開いた、凄腕のチームが日本に存在していることを素直に誇りに思います。またこのチームの存在を我々に知らしめてくれた著者の山根氏にも感謝します。

このチームがなぜここまで努力できたのか、中心となった技術者の「とてもおもしろかったから」という言葉が印象的です。結局、おもしろいから頑張れるんですよね。これからもどんどんとおもしろい目標を立てて、どんどんとチャレンジしていく日本でありたい、と思った次第です。結果や評価はあとから付いてきます。

「どうして世界一でなければいけないんですか。2位ではダメなんですか」などと言っていた国会議員には、このようなおもしろさは永久にわからないでしょうが・・。

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動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

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動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

一気に読ませる魅力がある本
「動的平衡」は前著でも議論されており,決して新しい話ではない。また,連載ものの編集版なので,動的平衡を一貫して論じているというよりは,エッセー集というイメージが強い。それでも,この本には一気に読ませる魅力がある。高校時代,あれほど嫌いだった生物がこれほど面白く読めるというのは著者のセンスと爽やかな文体によるものが多い。

ある仏教の入門書に,「一秒前の川は今の川と同じではないが,川は川に違いない。世の中全てが常に変化している。」と「無常」を説明した箇所があったが,福岡氏も命についてほとんど同じような説明をしている。さらに,生命現象についてデカルトに始まる機械論の系譜からではなく,最近広まりつつあるホリスティック医学的な観点から説明している点が普通の科学者らしくなく興味深い。今後は,1つの生物内の議論を超え,ガイア理論的生物学に発展していきそうだ。

生体や生態系は、非線形非平衡開放系における動的な秩序構造としてとらえられる。
“生きている”とは?生物理解への第一歩・・・これは熱平衡から遠く離れることが基本で生物は明らかに典型的な非線形非平衡系である。これは、I. プリゴジーヌによる開放系熱力学における「散逸構造」の発見によってもたらされた“生物”理解への科学的発端であろう。これは、数学的にも物理的にも難解な議論であり、以上のことが各分野の共通認識になった頃は一般向けの書物は少ない。この話題を含み、さらに現代文化の話題にまで議論が及ぶ総括的な、各分野の研究者によって著されたものが「<ヒューマンサイエンス>全5巻、編集:石井威望・小林登・清水博・村上陽一郎:中山書店(1984)」である。その中の1巻「ミクロコスモスへの挑戦」、3巻「生命現象のダイナミズム」(これらは入手可能)は非常に分かり易い、これが本著に関連する。以上は口上。では、この著書「動的平衡:生命はなぜそこに宿るのか」が以上の基本的概念を正しく反映させた分子生物学者としての著書か?成程、2009年の一般啓蒙書ですから多少の逸脱はパフォーマンスとしていい。話題も今日的なものを選び、読者に合わせることを忘れない。レビューを読めば読者がこれを読む気持ちはよく分かる。で・・・なぜ生命はそこに宿るの?何処に書かれているの〜教えてほしい〜論理が逆なんですな・・・。生命現象に関する要素還元主義以外の方法論は言葉だけの議論であって、いまだに存在しない(数学化不可能による)。この本が取り上げた話題は新しいが、議論は諸種の既存の知識の切り貼り。世に啓蒙書とよばれるもの多々ある。その内容の秀逸さのRange の幅は広い。この本が著者によるパフォーマンスとおもえば著者はよきパフォーマーであろう。
  最後に一言加えるなら、若き読者が生まれる前に発行された書「パラダイム・ブック」(私の拙いレビューあり)でもお読みになれば、還元論ではない包括論的な立場から物質、生命、意識という存在領域全体を、それぞれの領域におけるパラダイム・シフトを概観でき、とくに生命科学を目指す人、既に学生の人は、今の方法論(要素還元主義)では生命は理解できないことを知るだろう。また、著者が分子生物学者と言うなら、著者の大大先輩である、日本における分子生物学の成立に関わった”柴田篤弘”氏の著書でも読んでみたらいい。彼の考察した領域があまりにも広大であることに驚くだろう。

心地よさだけでは 危ういかもしれないと思いながら
 福岡伸一の本を読むのは3冊目である。

 彼の一連の著作の魅力は生物学を哲学として一般的な読者に解説出来る その話術にあると思う。読んでいて分かりやすいし また 表現が柔らかく 詩情が漂う部分もある 実に読ませる。

 但し 一般的な読者の一人として そういう話術に陶然としながらも ある意味では気をつけなくてはいけないような部分もあると感じる。

 例えば 遺伝子組み換え作物に関して 著者は「バイオテクノロジー企業の強欲」と断定している部分がある。
 説明は明快であるし なにより「米国のバイオテクノノジ―企業が強欲でないわけがない」という直感もあり 読んでいて心地よさも感じる。但し農薬や遺伝子組み換え作物を全て根絶した場合に 果たして 地球は 巨大な人口を養えるだけのサステイナブルな農業生産が可能なのかという視点はあるべきではないかと思う。
 この点に関しては 僕自身に知見がないので 判断は出来ないが 例えばロハスという運動が 本当に世界の大きなうねりになるとしたら 世界の飢餓・貧困問題を扱う「射程距離」がそれに備わらないといけないはずだ。個人的にはロハスという考え方には魅力を感じているだけに 大いにそういう課題に取り組むべきだと思う。

 繰り返すが 福岡の著作は読んでいて心地よさがある。今後ももっと読みたい。それだけに十分自分なりの批判的な視点も確保しておかないといけないと考える次第だ。生物がかように面白いと感じるのは 著者と三木成夫という方のお陰である。


 

『教祖』に化ける可能性は杞憂か?
3月18日の衛星放送での宮崎哲弥番組への出演ではじめて知り、何度も録画を見直してみてから本を手にとったため、読み進むに大変役立った。
さて、本のほうでは言葉遣いにしばしば若者に媚びるところがあり、「真逆」などとは学者さんが使わなくてもいいのにと思う。理系だからかどうか、全体的に人に読ませる文章としては上手くはない。こういう人はあまり感傷的になったり、サービスしたつもりで変なことを書かないほうが良い。
この人は、サイエンスの側から辿っていったら結局ホーリスティックな自然の仕組みを見たということで(TV出演ではそれを「文楽の人形の糸のよう」と表現している)、それは意外にも伝統的な東洋的自然観とよく似ていた、ということを言っていて、しかも60年も前にユダヤ人研究者がすでに証明していたのに無視されている!と無知なる大衆に呼びかけた。
無知なる私は飛びつきそうになった。これか、これが長らく求めていた真実だったのかもしれないではないか。実際すべての問題がこれで解けそうな気がしてしまうのだ。
そして、科学的な説明をほとんど理解できないまま、「臓器移植はムダ」「太りたくなければGI値の低いものを食べよ」「感染症を避けるためには『遠い食べ物』を食べよ」「食品添加物は摂るな」「ロハスな生活をしろ」…というご託宣に従って生きてしまいそうな気がするのだ。
本来、この人の書くものは一部のインテリに向けたもので、結論に至るまでの細かな科学的説明を理解し得る人だけが、「ご託宣」を聞く権利がある。けれど、そうでない者が結論のところだけに飛びついたら?
TV出演では彼は「死ぬのは怖くない。実際そうなってみたらどうかわかりませんが。」と言っていた。さて今後彼は「化ける」のだろうか。

生命に感じる諸行無常
ベストセラー『生物と無生物の間』の著者・福岡伸一が雑誌上で連載していた「生物哲学」に関するエッセイ集。

本書を通して描かれるのは、分子生物学的な観点から見た「生命の諸行無常」。
著者によると、生命は、自己の細胞の破壊と再生を繰り返し、食事によって得られた外部の分子群と置き換える作業を行う(しかし、エントロピー増大を回避できないとき、個体の死が訪れる)『動的平衡』なシステムであるという。

今の私たちの体は、大きな分子群の対流の中の「ある一瞬の淀み」でしかない。明日になれば、また古い細胞が破壊され、食事によって得られた分子によって、細胞が置き換わって行く。

文字通り、万物が流転する生命のダイナミズムを知ったとき、少し世界を見る目が変わるんじゃないだろうか?
少なくとも、世にはびこるダイエットやアンチエイジングの陳腐さが分かる。

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