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銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

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銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

2000年〜10年のベストなの?
某新聞に,投票で選んだ2000年からのベスト50という企画が載っていたんですが,ベスト1が「銃・病原菌・鉄」(Guns, Germs, and Steel)だというんで,批判的な印象を持っていた私はびっくりしました。

この本,「西洋文明の勝利で人類の歴史はゆるぎない」ということが前提となって立論されおり,そこからそもそも強引である。人間のこれまでの歴史を振り返れば,現状の西洋の圧倒的優位性は数百年後にはひっくりかえている可能性は当然あるではないか。
 さてこの前提のもと著者は西洋文明の優位性を,各文明を担うヒトの生物学的な優位性ではなく,文明発祥地の食料の豊かさといった地域的特性等に求める。で,この考え方の確からしさを示すために,人間の歴史を確認していくわけだが,この理論に背反する不都合な真実,欧州文明を征服せんとしたモンゴル帝国の後継国に関しては,説明がない。欧州を危機的状況に追い詰めた国と文明に対する検討すら行わない態度に嫌気がさして,読むのをやめてしまった。

著者の洞察力と知的パワーは圧倒的であり,この本に感激するのはわかりますが,私には著者が,西洋文明の優越性が絶対的真実である,ことを客観的に説明するために,社会的に許容されなくなった人種的な相違という論理を使うのではなく,あらたな道具を作り出そうとしているように見えました。

分野をまたいで発揮される知
こういう著者を頭がいいと言うのだろう。
知識がある分野に偏っていないので,
その知識を縦横に駆使して考えることができる。
その結果人類の歴史は何によって動かされてきた、と、
結論づけたのか。

もちろん「人」というのも正解だが、
その「人」がコントロールするることで
歴史を形作ってきたもの。

それが「銃・病原菌・鉄」だというのだ。
その論証が,わかり易い文章でなされている。

感嘆。

歴史は英雄が作るのではない
歴史書というと、カエサルやチンギス・ハーンなど現在にまで名を残す
英雄を中心に語られがちで、人類の歴史はこうした少数の英雄達によって
作られたように感じていました。

しかし、欧米諸国はこうした英雄がいたから現在の繁栄があるのでしょうか? 
アフリカなど貧しい国々は英雄がいなかったから発展しなかったのでしょうか?

この本はそうした人間中心の歴史観をくつがえし、動植物の生息分布や伝染病と
いった環境要因が人類の発展に大きな差をもたらしたことを科学的根拠に基づき
説明しています。

学者が自分の狭い専門分野にとじこもりがちな中、こうした学際的で、
一般読者の知的好奇心を刺激する本は非常に貴重だと思います。

なんでだろう?
15〜16世紀の大航海時代幕開けと共にヨーロッパ人は世界中に出かけていくようになりました。
ある国が大航海とそれに伴う植民地獲得により莫大な富を得られるのを目の当りにすると、
我も我もとヨーロッパの多くの国が世界中に植民地を作っていきました。
そして数百年の間に世界はがらっと様子を変えていました。

ヨーロッパ人→征服→北米の原住民
ヨーロッパ人→征服→南米帝国
ヨーロッパ人→征服→アフリカ大陸
ヨーロッパ人→征服→オーストラリア大陸

そして、15〜16世紀に塗り替えられた世界の様子は21世紀の今も概ねそのままです。
富・権力・力といったものは世界中の約200カ国、あるいは数百の民族の間で随分と偏って分配されています。

どうしてこうも世の中は偏っているのだろう?
と、多くの方は疑問に感じた事があると思います。
そこからもう一歩踏み込んで、
どうして矢印の向きは←にならなかったのだろう?
と、疑問に感じた事がある方はいらっしゃいますか?

私は、著者が上巻の冒頭に投げかけたこの質問、
どうして←にならなかったのか?
を読んだ時目から鱗がポロッと転がり落ちた様でした。
そこからはぐいぐい引き込まれてあっという間に上巻を読了し、下巻は少しペースを落としながらも読了しました。

矢印が→向きとなった究極の要因を著者は4つ挙げています。
1)動植物の分布が大陸によって異なっていたから
2)大陸内での伝播の容易さ
3)異なる大陸間での伝播の容易さ
4)大陸の大きさや総人口の違い
上記のように要約してしまうと随分味気なく見えますが、読んでみるとあらびっくり
「へぇ〜」「そうかぁ〜」の連続です。

この本が提供してくれる知的冒険は、多くの方にとって最高にエキサイティングなものになると思います。

エキサイティングな人類史
著者は本書で、人類が大陸によって異なる発展を遂げた理由を、人種の遺伝子的な優劣によるものではないことを証明した。
一言で言えば、人類はその大陸の生態、天候、地形などの環境によって異なる発展を遂げたのだ。
本書ではそれらを順に、解りやすく解説してくれる。

中でも面白かったのが、第2部「食料生産にまつわる謎」である。
なぜ今我々が食べているイネ(米)があるのか、なぜシマウマは家畜化されなかったのか。
これらの謎を、気が遠くなるような時間をかけて人類が試行錯誤してきた過程を通じ、解き明かしてくれる。
生きていて、なんとなく知っていたようで、実は知らなかったことがある。
そして本当に知った瞬間はまさにエキサイティングである。
「なるほど!」と何度つぶやいたかわからない。

本書は人類が辿ってきた歴史を「駆け足」で解説したものと著者は言う。
深く掘り下げたい人には物足りないかもしれないが、私のような歴史・考古学素人にはちょうどよく、充分にポイントは掴める。
読んでよかった。そしてもっと早く読みたかった。

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