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The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day

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The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day

乙一>JOJO 「物語の完成度は高いが、ノベライズとしては楽しめない」
・乙一の物語としての完成度は高い。
・とても暗い話なので、この小説は二度読む気にはなれない。
・私はJOJOファンだが、少々不満が残る作品である。

(以下、細かい批評)
 ノベライズ的な面白さとしては、第四部の主人公らに敵対する視点で彼等のキャラクターやスタンド能力を分析・推理している場面があり、確かにコミックスにはない新鮮さがある。
 だが、そのせいでJOJOの醍醐味である、<奇妙な現象のタネが、主人公(等)が敵のスタンド能力を理解した際に後付けで説明されるという『奇妙な現象(恐怖)→謎解き(そして勝利)』の興奮>が、ファンには薄くなってしまっている。せっかくの戦闘シーンだが、原作ファンなら彼等の能力と性格は熟知しているからである。

 本作は原作の設定に忠実だが、原作を感じさせる要素を詰め込み過ぎ、結果として、シリアスな物語の雰囲気を壊してしまっている部分が見受けられる。固有名詞がくどい箇所や、必然性のない場面等、小ネタが多く、しかも全てが活きているわけではない。

 そして決定的に足りないのが、原作の主人公達の、本作における「動機」の説明である。JOJO第四部を知らない読者は彼等の行動力に疑問を持つだろう。対立の理由はあるが、その背景にあるものが見えない。直接的には、岸部露伴の好奇心とジョウ助の母親の負傷だが、それだけでは説明が不十分だろう。
 コミックス30巻で、形兆戦後に、弓と矢を探すように主張する広瀬康一のような、コミックス43巻の最後で噴上裕也がエニグマの少年に対して言い放った一言のような――彼等の「護る意志」と本作における「個人・家族の愛憎と因縁」の対比をもっとはっきりと打ち出すべきだった(原作第四部が「護る意志」対「サガ」の対比だったように)。

 最後に、もし「あのエピソード」に触れるなら、陳腐なようでも最後まで時間SFでやりきってくれた方がこの小説を好きになれたように思う。


冷徹さと熱情の融合
"The Book"この簡潔な言葉はそれだけで聖書をさす言葉である。
聖書を示す単語としては"bible"を使う方が多いが、これも語源であるラテン語の"biblia"は一般に書物を意味していた。
かつては、いや現在でも聖書こそが本なのだ。
だから"The Book"は聖なる母と子の話であり、神なる父と子の話であり、そして許されざる罪人の話なのである。
罪人たちを取り巻く底冷えのするような暗黒はまさに乙一氏の真骨頂ともいえるものだ。
一方でキリスト教的なモチーフはたびたびジョジョの奇妙な冒険で扱われていたものでもある。
聖人の遺体が話の核となっている第7部はもちろんのこと、この小説では幼いころの仗助を助けた少年の行動も聖性を帯びたものとしての解釈が加えられている。
幾人ものジョジョとその仲間たちが発揮してきたのは聖なるもの、気高いものへと向かおうとする力強さだ。
"The Book"では聖書が根底に据えられることで乙一氏の冷徹さとジョジョの熱情が融合し、ひとつの作品として成立している。
見事というほかない。


素晴らしい…けど…
四部の世界を本当に忠実に再現されてることに驚きました。
原作を読んでる人はニヤリとさせられる部分が随所にあったのもうれしかったです。それこそ最新のネタまで出してくれるなんて。
加えてこの本に対するボツ原稿の量を聞いた日には!
荒木先生、乙一先生すごいとしか言いようがないです。
ただ一つだけモヤモヤすることが。
『彼』の『母親』があまりに悲しすぎました。読んでて悔しくて泣きそうになった。


まさしくジョジョ
気になる点はいくつかあるけれど(〜じゃないってセリフの場合、荒木先生なら〜じゃあない…とか)でもところどころで、ニヤリとする表現も多く素直に面白かった。

ジョジョは漫画においてもイイ意味で人を選ぶ作品です。それをよく文章で表現できたなって感心しました。
文章だけで、見事に荒木先生の絵が浮かんでくる作品です。ジョジョ…特に4部のファンなら買って損はないですよ。

これならジョジョでしょ
言うまでもなく原作が既に付いている作品のノベライズは通常の小説創作とは比較にならないほど困難なものだ。
特にこの原作は漫画表現独特のビジュアル的な面白さを武器の一つにし、原作者しか発せないような独特の空気感を漂わせている。また、原作を愛する熱心なファンも多い。
実際に私もこの本の発売を聞いたとき、本当にできるのか?と思った一人である。 しかし、この小説は、これらの難問に果敢に挑んだ乙一氏の心意気をきちんと感じるものになっている。原作に対するリスペクトと膨大な試行錯誤と作者の深い原作の読み込みが随所に見られるからだ。
話自体もなかなか面白かった。確かにジョジョでした。

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