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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

反省させられます。
一時は栄華を極めた国家、企業等の様々な組織体であっても、いずれは衰退・没落していく運命にある。それが緩やか下り坂であるのか、唐突な墜落であるかの違いはあるものの。
本書は、自己変革に失敗し敗戦へ転がり落ちていく旧日本軍の事例をもとに、失敗していく組織体の冷静な分析を徹底している。
誰しも、「成功体験」を積み重ね、その中で成長していくものであるが、本書は「成功体験」に囚われることこそ、失敗への道であると説く。
まさしく失敗の本質を突いていて、だからこそ、ここまでのロングセラーになっているわけである。だが、わが身を振り返り、数少ない成功体験を自分の存在意義・精神的な拠り所としていることは否定できず、優良な書籍を読むことはできても、それを糧にすることがいかに困難であるのかを思い知らされる。
よい本過ぎるので、星1つ減。

優等生の作文みたい
 太平洋戦争の敗北を研究した書物と言うことになっている。しかし、ここに書いていることは、すでに語りつくされたことばかりである。もっと突っ込んだ別の視点からの、なるほどそうだったのかというような、そして今後に役に立つ新しい研究であるとは、おもえない。ただの作文ではないか、というのが読後感である。
 今日の防衛省のお粗末振りを見ても、本気で研究した結果であるとは、おもえないのである。史上最高価格にして最低性能といわれる戦闘機。自衛隊がイラクのサマーワで作った記念の灯篭、これは爆弾で吹っ飛んでしまったが、なんの役にも立たないではないか、というような報道にも接する。大丈夫か、と心配になる。この書物に対して、内部のみなさんはどう評価しているのだろうか。

無意識のうちに陥りやすい失敗の本質を的確に洞察した名著
失敗の本質は、日本軍がなぜ負けたかについて戦略面と組織面の両方からアプローチし、
その洞察は現代の経営においても普遍性が高いとの評判を勝ち得ている名著である。
但し、全部で400ページを超える上に緻密に書かれているので、意外としっかり読み込めている人は意外と少ないのが現状である。
以下は、本の読み方について自分なりの知見を述べたい。
まずは、はしがきと文庫版あとがきを読んで著者のメッセージを把握するとよい。
次に、序章を読んで著者の狙いと本の構成を見ておくといいだろう。
いよいよ、第1章からは本題にはいる。
第1章から第3章の概要を記す。
第1章は、第二次世界大戦において日本軍のターニングポイントとなった6つの戦闘が書かれている。
それぞれ、戦闘の概要を記し、その上で、アナリシスという項目でなぜ負けたのかという分析がなされている。
第2章は、6つの失敗から抽出した洞察が書いてあり、第3章は洞察を元に失敗の教訓(今後どうしたらいいのかという指針)が書かれている。
第1章から第3章の読み方には2つアプローチがあると思う。
1つには、ケーススタディとなる6つの戦闘に関してあまり知識がない場合である。
この時は、第1章から順番に読んでいけばいいだろう。第2章、第3章の結論を把握したら、それをもとに再度第1章を読み返してみると効果的だ。
まずは6つの戦闘を擬似体験し、2章、3章で帰納的に結論を導きだしたら、仕上げに結論をもとに演繹的に1章のケースを分析してみようというわけだ。
もう1つは、ケーススタディとなる6つの戦闘に関してある程度の知識を持ち合わせている場合のアプローチである。
この時は、正直に第1章から読むよりも、第1章は飛ばして、第2章→第3章の順で読み進めたほうが効率的だ。
第2章、第3章を先に読んでおいて結論をつかみ、そのうえで第1章のケースを見ていく。帰納的なアプローチは省略して、演繹的アプローチを取ろうというわけだ。
もちろん、本の構成から考えれば第1章から読むほうが順当なのだが、いかんせん第1章は200ページ以上あるので、読み切るのに意外に苦労する。
自分の知識と持ち時間とを照らしあわせて、どちらのアプローチを取るのか選択してみて欲しい。
いずれのアプローチにしても、読了した頃にはこの本がなぜここまでの評判を勝ち得ているかの理由が自然と見えてくるだろう。
もちろん、資本主義社会を勝ち抜く大きな武器の1つになることはいうまでもない。

歴史に学ぶ
本書では、非情なる合理主義に貫かれなければならない官僚機構であるべき軍隊が、情緒を重んじたばかりに身を滅ぼした(端的過ぎる表現かもしれないが)、という「事実」が繰り返し冷徹に描き出されている。
我々が今日、しばしば目にする機会がある近代日本史は、無謀な戦争を引き起こした指導者や無能な指揮官によって多くの兵士や市民が無駄死したという怨恨的なものか、あるいは国難を人智の及ばない不可抗力、犠牲者を英雄とする礼賛的なもの、のいずれかであるが、相反するようでいて何を差し置いても情緒を重んじるというスタンスは至って共通している。
一個の人間が、情緒抜きで己の過去と向き合うのは難しいことではある。しかし、我々が近代社会に生きてなお未来を失いたくないとするなら、組織固有の情緒に囚われることなく、非情なる合理主義の観点で過去を直視し、歴史に学ぶことが絶対に必要であろう。刮目して本書を読むべし、である。

たいへん参考となる本
 日本軍の失敗から見えてくるものは非常に多い。
 論功行賞ばかりで、罰のない日本の官僚性
 ミスをしても、とがめられることも、出世コースから外れることのないエリート官僚
 まさに日本軍の高級将校と同じではないでしょうか。
 このような組織、制度が日本をだめにしてきたことに未だ気づかないおろかさ。
 わたしたちは戦後、過去の失敗・過ちについてあえてタブー視して、一切の反省を試みなかったことにこそ問題があったのではないでしょうか。
 反省させられることの多い本です。

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