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のぼうの城

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のぼうの城

ピンチのときは不器用なヤツがカッコいい!
一気に読みました。寝不足になりましたけど。

乱世を舞台にした歴史ものだが、
堅苦しさや小難しさといったものはなく、とても読みやすい。
そして何より、魅力ある登場人物の人間模様のアンサンブルが
にぎやかで楽しく惹き込まれてしまいました。

戦国ものが好きな人はもちろん、
戦国に興味のない人にも手にとってもらいたい痛快な作品です。
弱小大名だった成田家やその家臣団のことも詳しく知ることができるし、
敵方の三成や大谷吉継も新鮮なキャラクタで描かれているのもいい。

個性豊かな登場人物のなかでは、
剛強でやさしく周囲からは過不足ない猛将と思われているが、
実はその裏で繊細な面を併せ持ち、少々ネガティブな成田家家臣、
正木丹波守が気に入りました。

新しい器に古い酒
”漫画”のような、とこの作品を評する方がいらっしゃるが、まさにその通り。漫画世代に影響を受けた次世代の歴史小説であろう。司馬遼太郎や、宮城谷昌光のようなものこそ、歴史小説と考える方には、チト受けいれられ難いかもしれない。私は、むしろ歴史小説でこのスタイルをとったことを高く評価している。史実に基づいてないという反論もあるようだが、これは小説です。過去に起こった本当の史実など、誰にも分からぬ中、”史実”を求めるのなら、歴史の学術論文を読まれるとよいでしょう。

物語の展開こそ、ハリウッド映画ばりのテンポで読者を飽きさせず読ませるスタイルだが、訴えたいことは実に、いい意味でオーセンティックで真摯。「強いものが弱いものをなぶるのが道理として通る世の中は許せない」今の社会で痛切に響くテーマだからこそ、売れたのだと思う。テンポの良さだけであったら、同じようなものはいくらでもあろう。凡百のものと比して、当書が際立っているのは、筆者の強い思いがあるからではなかろうか。

閑話休題。実は、この本の主人公はのぼう様ではないのでは、とも思っています。脇役として描かれている正木丹波こそが真の主人公ではないかと。のぼう様が、ある種、神格化された人物として描かれている中、等身大の悩める人間像として非常に魅力のあるキャラクターとして光っているとも思います。

次作が楽しみです。

 良い意味でも悪い意味でも「漫画」である
 なかなか売れているらしい。
 確かにエンターテインメントとしてのストーリー性はあるし、一気に読める。しかし、小説としての完成度はいまいち。
 登場人物たちの時代考証を無視した言動(茶髪の武将が出てきそうな世界観である)が多々見られるが、これはもちろん意図的な現代風アレンジであって、そのことを批判するのではない。この手法は、若者にとっては司馬遼よりもスタイリッシュに感じられるだろうし、時代小説の裾野を広げるものであると評価できる。
 問題は、登場人物たちの描写である。彼らの『花の慶次』のような、つまり漫画のような描写がこの小説への感情移入を妨げている。なにより、主人公たる成田長親のキャラクターでありタレントであるところの「人間性」、つまり「将器」についての納得ある説明がされていないのが決定的に評価を下げている。語り部的役割である猛将正木丹波守のアフターストーリーにも同様のことが言えるが、初めに結論ありきの物語展開が強引で、一度疑問を感じて立ち止まってしまった読者を置き去りにしてしまう。
 さらに敢えていえば、日本文学が得意としてきた人物の心の陰影に関する描写が極端に少ない。これは、「表現のための物語」ではなく「物語のための表現」が優先され、物語そのものが目的化した結果であると言えよう。
 まあ、見方を変えて言い換えれば、スマートな展開で無駄がないとも言えるのかもしれない。してみれば、このあたりが「本を読まない」とされる若者にとって、読みやすく面白いと感じられる一因なのだろう。
 いずれにしても、私も若者の端くれだし、読み物としては面白いと思う。小説ではなく、漫画だと思って読むと良いだろう。


痛快かつ爽快
まず、表紙がいいです。自分も思わず表紙で買ってしまいました。
あまり深く考えずすらすら読むことができて、読後も爽快感というかいい気持ちに慣れる本です。




評判以上の快作
 わたしにとっては、武州忍城を舞台としたものといえば、
『十一人の侍』(工藤栄一1967)という映画以来かもしれ
ません。もっとも、本書の時代はだいぶ遡って16世紀の
後半、戦国時代の末期ではあるのですが。
 読み終わって、暑いときに少しビールを口にしたような
清涼感とわずかな体のぬくもりのようなものが残りました。
分量も適当で、ストーリーも正攻法のものだったからだ
(簡単な地図と登場人物の一覧があると、もっとよかった)
と思います。
 もう少しその理由を考えると、まず攻める豊臣方(特に
石田三成の胸の内)と守る成田方を対等の立場で交互
に描く構成、判官びいきをモチーフとして、数千の力で二
万三千の軍勢の攻撃をしのぐ意外性のあるプロット、最
後に登場人物を漫画チックに戯画化して、描き分けてい
ることでしょうか。何より、登場する人々がいずれも前を
向いていることが、読む者のハートを熱くするのだと思い
ます。
 本書の元は、城戸賞を受賞したシナリオで、帯には既に
映画化が進行中と記されています。どうしても大掛かりに
なり、ロケ地や製作資金の確保が難しいせいもあってか、
本格的な合戦ものといえば、黒澤のもの除くと『風林火
山』(稲垣浩 1969)、『真田風雲録』(加藤泰1963)、『雑
兵物語』(池広一夫 1963)あたりまで遡らないと先例がな
いようです。実現までにはいろいろなことがあるのでしょう
が、観ていてワクワクするような映画になることを期待して
います。


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