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スカイ・クロラ (中公文庫)

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スカイ・クロラ (中公文庫)

ある意味、不思議な作品。
映画化の話が出る前に読んだのですが、これが果たして魅力的な本なのかは、かなり疑問なところです。
この疑問は作品そのものよりも、むしろ作者に対するものが大きいのかもしれません。
というのも、小説内に使われている表現自体は悪いものではないのに、キャラクターの行動や全体の流れ、小話などは空回りな感じ。
これはこの作品だけでなく、作者の他の小説に対する総評として、自分がずっと抱いてきた感想です。

シリーズものなので、あえてこの巻では話の流れを理解できないようにしたのかもしれませんが、これは逆効果だと思います。
少し、狙いすぎた感じがしすぎていて…このあとのシリーズも読んでいくたびに、ニヒルに構えている感は否めないです。

人気は高いようですが、過度の期待は禁物。むしろ、こちらもニヒルに構えて読んでいくと、良いかもしれません。

私ははまれなかった。
映画のCMで興味を持ち、書店でこの本を見かけて絵に引かれ手に取りました。読んだ感想ですが私は、友達から自分の知らない人物のどうでもいい噂話を、聞かされたような遠さを感じました。主人公と気持ちが重なるっていうか感情移入して読み進めていくスタイルではなかったように思います。主人公のキルドレという特性上、この小説も感情の温度が低いのではなく「遠くに」感じました。過去にサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んだときに同じような心に引っかかるものが何もなく納得いかない気持ちになりました。この小説にはサリンジャーの小説の冒頭が章ごとに引用されていたので、本当にサリンジャーのテイストだな・・って思いました。あらためて、サリンジャーの小説は私には肌が合わないのだなと思い、そして似たようなテイストの「ただあること」だけを「ただ感じたこと」だけを並べて、言えば単調な誰かの日記を読んだような文体が私にはもの足りず不完全燃焼でした。主人公の感覚だけをのせたような文体。狙って書かれているだろうから、これはある意味すごいこと。作家さんの腕前は確かでしょう。でも、私には温度があわなかったです。私は感情移入していけるスタイルの小説が好きなんだな・・・と今回勉強になりました。図書館で見つけたら暇つぶしに読んでみるかもしれないけれど、自分ではお金を払って続きを読むことはないと思います。あくまではまれなかった私がここにいた。。。という個人的感想です。追記・・・読んでから一週間たちました・・・不思議なんです。続きを読みたい私がいます。でも、このスカイ・クロラの話読んだはずなのに、全然思い出せません・・・。なので二回目読んでます。こんなにすぐに二回目は読めないはずなのに、全然読めます。二回目読んでると、単調な文体が「詩的な文体」と感じています。なぜ??とりあえず、がっかりしたくないので、もう一度読んでみて続きを買うかどうか検討中・・。つまらない・・って思ってたんだけど、誰かの日記(日記みたいな文体だから?)は読みたくなるものだからでしょうか・・・?

これは最終巻じゃありません
最終巻と言っている方がいますが、これは第一巻です。 ご注意を

冷え切ってない
完全な他人の死には一応無関心でいられるけれど
仲間といえる存在に対しては、必ずしもそうではない。
確かに冷めてはいるのだろうけど、そういう点でやはり彼らも人間なのだろう。
だから、苦悩をぬぐい去ることはできないし、何よりも生きていかなければならない。

パイロットという職業と自身の在り方のせいで
意識せざるを得ない「死」、そしてそれを不本意な形でしか得られない彼ら。
どうあがいても結局「それしかできない」の繰り返しで
気づいたら自らを把握する機能すら失ってしまっている。
そして何もかもを失った彼らは、殺してもらうために空を飛ぶようになる。
誰もが忌み嫌う戦争がもしかしたら彼らにとっての、唯一の救済なのかもしれない。
子供である限り、大人による呪縛から逃れられないのが悲しい。
もはや子供であることを捨てた、というだけで、ルール違反、というような気さえする。


たまに「結局何が言いたいんだろう?」と思わせるような部分があって
文章に対し、ちょっとちぐはぐな印象を抱きましたが、綺麗な作品だったと思います。
ただ、裏表紙のあらすじは余計のような気も…
作中では少しずつ核心に触れそうで触れないくらいに語られていき
終盤になってようやくたどり着く「キルドレ」の真実が
たった一行で簡潔に記されている(!)
また「戦争がショーとして成立する」というのも適切ではないかも…
(個人的に、ですがかなりの誤解をしました。しかも先入観ってそう簡単には拭えない)

…ところで映画公開に伴い文庫版のみ装丁が変わるみたいですね。
単純な綺麗さを実現させている表紙だったので、残念です。

ふしぎな空気感を持つ戦記物。ファンタジー?SF?
押井守監督の次回作ということで森さんの名前を知りました。不思議な空気感を持つ作品で、あまりほかに類を見ない小説だとおもいます。五連作の初め書かれていながら、最終巻というループのような形式。飛行の描写は、宮崎駿チックで、情景が目に浮かぶようです。このシリーズで、森博嗣ファンになり、S&M, Vシリーズなどと手をひろげていますが、ミステリーものはどちらかというとライトノベルやコミック風で、だいぶ雰囲気がちがいますね。非常に若々しい感性の作家さんだと思います。発行順に読むのがベストと思います。

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