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AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)

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AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)

今しがた読み終えて
何気なしに読み始めたら手が止まらずこんな時間に。
約3時間半読みっぱなしで通せました。
そこで拙いながらも感想をば。

厨二病と学園ボーイミーツガール物なんてありきたりな設定を
こうも上質のエンターテイメントにしてしまえる辺り、
やはり田中ロミオなんだなあと実感。
オチも含めて最初から最後まで著者の世界に引きずられっぱなしで、それでも読後には
何とも言えない爽快感のようなものがありました。
学校という特殊な「社会」や思春期なら誰もが(オタク趣味持ち)一度は考えたであろう
「自分設定」の描写はリアルなもので、経験者なら言わずもがな
ライトな層にも受け入れられる作品だと思います。

ただ灰汁は強く、特に前作の衰退シリーズとはだいぶ違うので人は選ぶと思います。
ただ、パソゲー(アダルトな)で田中ロミオを知った・好きになった方には間違いないかと。

ジュブナイルはロミオと榎戸
「衰退しました」はゲームユーザーからロミオファンになった自分には、
正直初めはとまどいましたが、こちらはお得意の学園ものです。
なのに始まりがファンタズィーなのでビクビクしながら読み進めてしまいました。
しかし「衰退」同様、あにはからんや。

自分は邪気眼もちだった過去はありませんが、
ひとりよがりな悩み多き多感な時期を過ごした人は多いはず。
そんなしょっぱい時代を持つ人全員に薦められる作品です。
ギャルだってかまってちゃんだってDQNだってレイヤーだって痛さは一緒だよー。
要はその痛さに気づくか気づかないかだけで。
(ただ、この本はその痛さを否定しているどころか許容しているとすら思う。大人だなあ。)

主人公がその100年くらいたたないと笑い話にもできない痛さを
一足飛びに駆け抜けていくのが気持ちよく潔く・・。
物語の収束の仕方は圧巻としか言いようがない。
眼前にラストの光景が浮かんだ時に、さすが餅は餅屋と思ってしまいました。

これは大人のためのジュブナイル本です。
今まさに痛みを持ってる人には直視するのがちょっときついかもしれないですね。

流石我等がロミオ
今作もアクの強い作品となっています。しかしそれがロミオ節などと言われる所以ですね。
他の方のレビューにも書かれていますが、『人類は〜』とは全く違うもの(『人類は〜』がとても異端であるため?)です。ですがロミオのファンであるならば必ず読むべきでしょう。
というか『人類は〜』や今作をチェックする殆どの人がゲームからのファンだと思いますが。


最後に、パンチラには大変笑わせていただきました(異端かもしれない)。

世界初の中二病特効劇薬。
・物語より現実の方がよほど不思議なことは多い。
・世界は中々変わらないが、自分を変えるのは想像よりずっと簡単。
・特別な存在になるための、近道は無い

…挙げればキリがないが、夢見がちの少年が千の読書を経て初めて知る教訓、あるいは"元"中二病患者の大人たちが子供に上手く伝えられない激励、それを田中ロミオはたった一冊の本にまとめあげてしまった。
自己啓発ムックという、ミステリ以上にライトノベルと対極に位置するジャンルを融合したということで、ある意味で乙一を超え、最早作者の技量は底が知れない。
アナフィラキシィで憤死する恐れのある10年以上中二病発症中の中年を除く、日本語を理解できる全ての人に薦めたい。

ところで、ライトノベルの常道をことごとく踏むにじり踏みしだき踏み抜いたかに見える本書も、エンタテインメント作家としてリアリティの追求にリミットを設けたか、貧困故に編集部との致命的な関係悪化を避けねばならなかったか、とにかく「ヒロインが美少女」という設定だけは死守されている。
それはノイズのように本書のテーマを阻害するが、同時に特定の読者にとって本書がヘビィ・ノベルとなってしまわないよう配慮した作者の優しさ、あるいは逃げ道なのかもしれない。

その潔さに、なんだかあこがれちゃう。
田中ロミオの学園ファンタジー。
主人公の佐藤一郎は高校デビューに成功した。友人をつくり、忌まわしき過去からの脱却に成功したのだ。しかし、夜の学校で謎の美少女と出会ったことから彼の転落人生がスタートしたのだった。

ていうふうに書くとありきたりだなぁと思うだろう。
実際、美少女と出会う→巻き込まれる→なんやかんやで行動を共にするというセオリーを見事に踏襲してぽかーんとさせてくれたのは事実。だが実態はひとりの少年が自分に正直になるべきか、それとも皆に合わせて平穏無事に生活するかを度重なる苦難を乗り越え、自分の答えを導きだすというお話です(ちょっとおおげさ)。
佐藤の苦難というのが、クラスメートの半数はなぜかファンタジーRPGのキャラクターになりきっており、何があっても自分に課せられた設定を貫き通すというモノ。そういう人々は普通の人から見れば変なのだが「フハハ!そんなに知りたくば教えてやろう」「なに、貴様があの噂の!」「地底からか・・どうりでな・・フフフ」というセリフを真顔でしゃべる姿に笑えてしまうのが不思議である。
クライマックスの佐藤が全てを捨てて走り抜けるシーンはちょっと感動。
そして最後にどりせん(担任のあだ名)がやってくれました!どりせんは愛すべきキャラクターです(笑)。

田中ロミオが意図したのかはわからないが社会問題と学園モノを巧く絡めた作品だと思う。
人が恥も外聞も捨てたら一体どうなるのか。
それを見せた佐藤に、ちょっとあこがれた。

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