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ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

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ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

些細な間違いだが他にも間違いがあると思うと読む気がなくなる
本屋で手にとってざっと見た。たまたまアメリカの大学のFinancial Aidについては詳しいので、この本の記述に間違いがあることが、すぐにわかった。些細な間違いだがHarvard志望者にとっては極めて重大な記述だ。

一瞬、他にも間違いがあるんじゃないか?という疑念がよぎった。扱う主題が重たいだけに、間違っている情報を吹き込まれてはたまらないと思った。本を書棚にしまい、帰宅した。

日本人には検証が困難な海外の社会問題を日本人だけで議論する場合陥りがちなのが、間違った内容をもとに議論し、間違った結論にいたることだ。この本は、そういう事態を引き起こす可能性を孕んでいる。

貧困の原因は、強欲な企業が無慈悲に民衆を搾取しているという図式ではない
現在、アメリカがどのようになっているのか、少なくとも一面を知ることができたという意味で貴重なルポで、興味深く読んだ。

しかし、貧困の原因について著者は誤解していると思う。かつてアメリカそのものだったGMの利益は大きく、十分過ぎるほどの年金・医療保険をカバーできた。

それができなくなったのは、本書にもあるように日本車との競争に負けたからで、その後、アメリカの製造業は中国などとも競争しなくてはならなくなり、利益率が大幅に下がった。

物流、通信の発達などによりグローバル化=世界的な競争が激しく、70年代までのような大きな利益を出すことができくなったのだ。あまりに競争が激しく、組合があるとコストが上がり、企業は生き残れなくなるほどだという。

また、コスト削減のためにインドなどにアウトソーシングが進み、多くのアメリカ人中間層が失業することになった。これも消費者が少しでも安く品質の良いものを求めるのに企業が応えた結果である。この辺りはライシュの「暴走する資本主義」に詳しい。

つまり、貧困の最大の原因は、強欲な企業が無慈悲に民衆を搾取しているという、左派が大好きな図式ではない。


また、年金が貧弱で医療保険の負担が重いのは、少子高齢化が最大の原因だろう。これは日本やヨーロッパなど、先進国共通の問題で、説明は不要だろう。人類史上初の逆ピラミッドの世代構成の社会で、必要十分な社会保障を維持できるわけがないのだ。

日本でも莫大な額の国債を発行して借金を積み上げ、老人世代を養っているが、これは後の世代へ遺すツケである。子どもの貧困が叫ばれているが、これはジジババが孫の未来を食い潰しているのに他ならない。要するに世代間闘争が世界的に始まっているのだ。

資本主義の終焉を感じます
タイトルの通り、「ルポ 貧困大国アメリカ」の続編です。
前作同様、とても強烈です。

今回取り上げられたのは、
多くの大学生が抱える教育ローン問題、
インフレと社会保証の破綻、
医療制度の崩壊、
それと刑務所ビジネスです。

教育、福祉、医療、これら公共性の強い事業は、
本来どれも政府が保護しなくてはならないはずなのに、
民間企業によって極端に商品化されてしまっている。
その結果、困るのはなんら罪のない国民たち…。

たとえば、教育ローン問題では、
ローン会社が突然高額の利子を学生に請求し、
しばらく返済されなければ自己破産と見なして法的措置をとる。
借りてはその後も債務を負い、一生借金に追われる。
こんな狂った状況を、政府が民間企業と結託して助長している。

さらに強烈なのが刑務所ビジネス。
他に仕事のない刑務所の囚人を雇うことにより、
企業は発展途上国にアウトソーシングすることなく、
やすやすと超廉価な労働力を確保することができるという。

一握りの富裕層が政府と癒着して、
大勢の者を支配するシステムを作り出している…。

これを読むとアメリカに行きたいとは思えなくなるし、
アメリカ人がとても哀れに思えます。

面白すぎる!
前作も衝撃的だったがUは更に面白い。読み出したら止まらなくなり一気に読んだ。学資ローンと刑務所ビジネスなど日本にも近づいてる分野なだけにゾッとする。今回はオバマを絶賛してたリベラル派が反省してる証言が新鮮だった。それにしても、これでもかと暗鬱な現実をえぐり出してるのに読み物として面白い。怖いものみたさというか、ある意味クセになるシリーズ。著者の取材力と筆力に圧巻。

良書です
新自由主義とは、一握りの既得権益者によって制約され、
ますます狭められていく範囲の中での自由に他ならない。
そこでは、ごく一部のスターや富の状況への憧れを餌に
多くのチャレンジャーたちが食い物にされていく。

アメリカンドリームの負の部分がわかる良書。


嗜好も、富の分配も、ロングテールが加速する。
神の見えざる手による、過程の一つなんだろう。

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