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これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

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これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

コミュニタリアニズムの正義論が網羅的に展開される!
 本書は、アメリカを代表するコミュニタリアンのM.J.サンデルが、ハーバート大学で行なった講義に大幅な加筆をし体系化した大著である。それだけに、菊池理夫の訳で有名な『リベラリズムと正義の限界』と同様、いなむしろそれ以上に、カント=ロールズ流のリベラリズムに対する見解が鋭く平易に解き明かされている。また功利主義やリバタリアニズムに対するスタンスも明確にされている。「負荷なき自己」に対する「社会に埋め込まれた人間」というサンデルの倫理が、さまざまな取っつきやすい具体例をあげて解説されている点も好感が持てる。なんといっても、政治哲学の倫理地図を鳥瞰して、サンデルの抜きんでた立ち位置が分かるのが魅力的である。
 やや惜しむらくは、共通善にもとづく正義について、マッキンタイヤやテイラーに見られるようなカール・マルクスとの対質が試みられていない点であろう。もっともサンデルは選好的共同体(アソシエーション)との対比を随所に展開しているので、この点は推測が可能かもしれない。その正義論が、エッツィオーニのような凡庸で啓蒙的で人畜無害の「新しい公共」と根本的に異なるのは明白である。この意味でサンデル正義論の持つラディカリズムについて、例えば青木孝平の『コミュニタリアン・マルクス』などによって補うことを推奨したい。
 


なぜ、政治が混乱している今「政治哲学」に関するの本が売れているのか。考えるためのモノサシ。
NHK教育テレビの「ハーバード白熱教室」をたまたま見て、引き込まれてしまい、本書も購入。テレビだけでは消化不良の内容も、本書を「副読本」として読むことで理解を深めることができる。

哲学に関して予備知識のない評者でも、興味深い身近な例に引き込まれて、最後まで読み通すことができた。もちろん、表層的な「入門書」ではなく、かなり深遠で本質的なことが書かれている。

しかし、なぜ今、必ずしも簡単ではない「政治哲学」の本が売れているのだろうか?それは、教育テレビの影響も大きいが、今の政治の混乱も無縁ではないと思う。

たとえば、第4章の徴兵制に関する議論。昨今の普天間移設を含む安全保障の問題を想起したのは評者だけではないはず。功利主義的な便益で解決しようとする人、実現不可能な理想論を持ち出す人、安全保障のただ乗りに気づかす反対する人、安全保障の負担を申し出る人(知事)。第9章の歴史的不正に対する公的謝罪も身近な政治課題。本書は、これらの政治課題に対して、「功利主義の政治」「自由主義の政治」「共通善の政治」の異なる3つの視点から「何が正義か」に関する批判的分析を行っている。

正解があるわけではないが、本書を読み終わってみると、現在の日本の政治に対して考える「ものさし」を得たような気がする。


本より実際に授業を聴いた方がいいですよ。
ハーバード大学の講義というのを大きな売りにしている番組であり本です。iTunesUでその講義を無料ダウンロードしましょう。臨場感溢れる講義を全部受ける事ができます。インターネット環境を持っている人が、そのままの形で公式無料提供あるものをわざわざ本で買って読む意味はありません。

非常にいい本だった。でもこういう本こそ、批判的に読めるようになりたいと思う
巷の噂ではものすごく売れているという政治哲学の本。ハーバード大学で政治哲学を教えているということだけど、その講義がものすごい人気で、テレビでも放送されたほど。日本でも、現在、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』として放送されている。
学生時代、「正義論」については関心があったので、ロールズやノージック、ドゥオーキンらの著作は読んだけど、そんなに万人受けするものではないと思うが、テレビの影響があるとはいえ、日本でもこんなに読まれるということは、やはり、内容的にもいい本なのだろう。

読んでみると思った以上に読みやすい。翻訳者の力量もあるのだとは思うが、著者の非常に論理的な構成力と、上手に具体例を交える能力のおかげで、とても分かりやすく説得力のある内容になっている。
最も感心したのは、アリストテレス、ロック、カント、ベンサムなどの過去の哲学者から、ロールズ、ノージックといった現代の哲学者まで、彼らの主張を丁寧に紹介しながら、巧みにそれを、経済格差など現代の社会問題にあてはめ、コミュニタリアンとしての自分の主張につなげていくところ。

一時期、ロールズの正義論に魅かれていた(といってもちゃんと理解してたわけじゃないけど。)自分でも、著者の主張に肯いてしまいそうになる。

でも、ちょっと危ない。

確かに彼の主張は彼の文章力もあって説得力もあるし、現代のアメリカ社会の批判にもなってはいるんだけど、共同体を強調することで、現状のアメリカ、オバマのもとでのアメリカを肯定する意図が見え隠れしている。本当にオバマが目指す社会は、「正義」にかなうのか。それは、誰にとっての「正義」なのか。

私には、ハーバード大学の教授の主張を論破する能力はないけれど、どこか危うげな感じを受けてしまう。こういう本こそ、批判的に読めるようにありたい。できれば、サンデル批判の「正義」論を読んでみたい。

寓話−サンデル教授の変遷−
尖鋭な思想を抱き、凛呼たる態度で哲学界を煽動していたサンデル教授にたいして
高弟を自負していたサムは、サンデル教授に思慕の念を抱くとともに密かに懸想していた。

新たなる倫理の勃興時、今では浅薄な考えだったと省察するけれども
当時、栄達を求めていたサムは、サンデル教授の倒錯した価値観も問題とせず
彼の茫洋たる大海のような態度に心を奪われていた。

しかしサンデル教授は沽券に関わるということで、根本的な問題を矮小化し
人倫の世界における危機をもたらしかねない著書を上梓してしまった。
実態を糊塗し、宥和理論を再構築した彼の責任は大きい。

結局サンデル教授は哲学界から放逐され、もちろん安穏な生活を送れるはずもなく
逆恨みをした彼は、結果的に祖国を呪詛するようになるのであった。


・・・あれ、サムはどこへ行った?

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